Cymbalsのバンドスコアをいくつか買ったので気づいたことのメモ帳
買った曲
- Highway Star, Speed Star
- Show Business
- E.G.G.
- Air Guitar
全体的に感じたこと
- コードに色彩感があってしかもベースが動き回っているのでなんだか曲全体が難しそうに聞こえるけど、メロディに関して言えば基本的に調からは外れない。外れる時もきちんと説明がつく。
- sus4系分数コードをよく使う。sus4の音はしばしば浮遊感を持つと説明されるのでこれが曲の雰囲気形成に大きく関わっていそう。
- かなりの頻度でモーダルインターチェンジが発生する。コードが難しく見えるのはそのせいで、メジャーマイナーの整理をつけると基本的に説明出来る。この切替のおかげで長調短調に囚われないオシャレ感が出る気がする。
- ギターとドラムはほとんどキメ要因で、間奏のギターソロ以外はほとんどリズム形成に寄与する。他のバンドではリードギターが担ってそうな動きのある役割を代わりにベースが終始やってる。だから耳コピがものすごく大変なことになる。
- 正直ベースの動きはどう説明すればいいのかわからない。おそらく高度なウォーキングベースと捉えるのが良さそう。経過音まで分析していられないし、打ち込めばクセがわかるはず。基本的にはルートを弾いてくれるし、そうでなくともコードが切り替わる瞬間はコード構成音を弾いてくれるから……
- 今回買った曲たちは特にそうだが、A-B構成の曲が多い。普通の邦楽はHighway Star, Speed Starが該当するようにAメロ-Bメロ-サビの構成が多い。A-B構成は洋楽的な印象を持たれると思う。ただ、洋楽の場合はバースとコーラスがはっきりと雰囲気に差が現れているが、Cymbalsのこれらの曲の場合、AとBのスピード感は保たれている印象を受ける。
Highway Star Speed Star
- 曲を構成するコードのキーワードは「sus4系分数コード」「モーダルインターチェンジ」「Ⅳに向かうツーファイブワン」
- キーはAメロBメロがD、その他のサビやイントロがF
- モーダルインターチェンジがたっぷり使われている。教科書に載って良い。
- イントロ4小節がFmaj7→A7(b13)(onB)→Bbmaj7→Bbm7(onEb)
- ここの3→4小節目でFメジャーからFマイナーにモードが変わっている。明るい雰囲気が一気に深い夜へと走っていく感じがしていい。
- キーボードの譜面だけ見るとD→Dbsus4で、これはこれで雰囲気を損なわず、一方で三和音なのでスッキリした感じになる。
- モードが変わった時にトップノートが完全5度のFで持続しているのがいい。下では大きく揺れ動いているのにトップノートは澄ました顔をしている。ルートか完全5度の音をトップノートにするとこういう風に調性から外れないし、三度や七度の音を使うとマイナー感がぐっと引きだつんだと思う。
- イントロ5小節目でさっきまでマイナーだったのがG(onA)のsus4系分数コードでふわっとメジャーに戻って、7小節目でGm7(onC)になってまたふわっとマイナーに戻っている。
- サビも3つ目の和音でGm7(b5)のFマイナーのモードの和音が出てきて、その後の「踏み込むアクセル」でBbのツーファイブワンをやってる。Ⅳmaj7に向かうツーファイブワンはⅣmaj7がダイアトニックコードだから使いやすいのかも。ずとまよのスコア見てるときも結構出てきていた気がする。名前ついているのかな。
- この部分転調する時にFのキーでもBbのキーでも当てはまる音がメロディに使われていて勉強になる。これはサビのメロディが7抜きで構成されているからだと思う。
- ちなみにベースはこれに該当しない。Cymbalsのベース難解すぎる……
- AメロBメロのメロディはDのペンタトニック。Bメロの最後四小節だけCに部分転調している。
- Aメロの7-9小節目はG(Ⅳ)のツーファイブワン。これ以外はダイアトニックコードなので分数コードが使われている以外は普通のコード。
Show Business
- キーはD→Eb
- 冒頭からF(onG)→G(onA)、これはHighway Star, Speed Starで予習したことの複合。モーダルインターチェンジとsus4系分数コード。
- この曲はAメロとBメロのみで、見方によっては歌が入る箇所は全てサビとも見なせるので、常にスピード感あふれる曲になっている。実質ハム太郎
- AメロはDmaj7→G#7(b5)→Gm7→C9の繰り返し。G#7(b5)は転回するとD7(b5)となる。Gm7とC9はDのマイナーから借用したコード。
- Bメロ6小節はBm7→Cmaj7→Bm7→Am7→Bbmaj7で、Cmaj7とAm7はDマイナーからの借用コード。
E.G.G
- キーはG
- イントロはsus4系分数コード祭り。テンポが変わってから7-8小節目のAb7sus4→G7sus4→G7(b13)→Cmaj7の解決の仕方がめっちゃオシャレ。イントロ前半8小節の不安定感の引き伸ばしが、最初の"Breaking eggshells ha――"という歌詞にも合っている。
- 特筆すべきはAメロの一番最初のメロディ、なんとG#からはじまる。
- Aメロ冒頭4小節のコードはE9→Am7→C(onD)→D9→F(onG)、つまりE9の後にAm7が来ているので、これはドミナント・モーションであるとわかる。この構成音の中でGメジャーキーから外れた音のG#をメロディとして採用することでメロディの色彩感が増している。
- Bメロの最後の"in my brain"もB7→E9のドミナント・モーションになっていて、キーの外のD#がメロディになっている。
- この曲の色彩感はドミナント・モーションを形成するドミナントコードのダイアトニック外の音がメロディに含まれていることだ。
Air Guitar
- キーは基本的にはC。頻繁にキーは変わるがそれは最後だけなので割愛。
- ベースは曲を通じてルートと完全5度を繰り返す。珍しく素直なベースで、曲の雰囲気の統一に役立っている。
- 構成はA-B(-C?)-A
- イントロはCmaj7→Fm9→Em7→F(onG)で、Fm9はCマイナーから借用している。
- これまでの曲は同主調のコードを借用してメロディはメジャーのまま、あるいはマイナーになることで変化する音を避けることが多かったが、この曲は借用しているときはメロディもCマイナーになるのが特徴。イントロだと二小節目が該当する。
- AメロはCmaj7→Gm7(onC)→Fmaj7→Fm7→Em7→Gm7→Fmaj7→F(onG)
- Gm7とFm7は借用コードで、Gm7(onC)とF(onG)はsus4系分数コード。
- BメロはCmaj7→C9(onBb)→Fmaj7→Fm7→F(onG)
- Fm7の"Bossa-Nova?"の部分も、Fm7を借用したことでメロディもCマイナーキー由来のものになっている。
- Cメロ?はAm7→Gm7→Fmaj7→Fm7→F(onG)
- 最後のF(onG)の"Guitar!"のメロディがEbで、コードはメジャーなのにマイナーな音を使うことでブルージーなメロディになっているのがカッコいい。
- 間奏のギターめちゃくちゃ低いとおもったら6弦の解放Eが最低音だった。そりゃ低いわ。
他に気づいたことが増えたり、新しくスコアを買ったらその都度追記します。